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共催セミナー「紛争地域における企業の責任: ロシアの侵略と日本企業」の実施

20231219日(火)、JaCERはビジネスと人権リソースセンターと協力し、「紛争地域における企業の責任: ロシアの侵略と日本企業」と題するウェビナーを共催致しました。講師には、ビジネスと人権リソースセンターの東欧及び中央アジア・シニアリサーチャー兼代表のElla Skybenko(エラ・スカイベンコ)氏、同じく東欧・中央アジア担当リサーチアシスタントのVladyslava Kaplina(ウラディスラヴァ・カプリナ)氏をお迎えし、会員企業限定のクローズド形式で実施されました。発表の主なポイントは以下のとおりです。

  • 国連ビジネスと人権指導原則13に基づき、人権に対する負の影響を特定する必要ある。紛争影響下では強化人権デュー・ディリジェンス(Enhanced Human Rights Due Diligence)の実施が求められる。強化人権デュー・ディリジェンスは継続的に行い、ステークホルダーの関与により紛争の分析、「赤フラグ」(武力行使・大規模な暴力の兆候の把握)の活用などが求められる。
  • 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が策定したガイドラインは、特定の紛争状況において企業が責任ある撤退を検討するべきことについて規定している。現地の法律が国際的に認められた人権に反する場合などは、企業は撤退を検討すべきである。
  • 武力紛争下においては、企業は国際人道法の順守についても十分に配慮する必要がある。従業員が戦争犯罪に間接的・直接的に関与する場合、適切に対応しなければ訴追される場合もある。ロシアに関して、実際に企業が訴追される例が増えている。

 

質疑応答では、日本企業が販売・製造している汎用品が武器転用された場合の対応や、経済制裁が及ぼす人権への負の影響、企業に実施が求められる強化人権デュー・ディリジェンスの範囲や効果的な実施方法、企業が国際刑法上の責任を問われた事例、企業が撤退を判断する場合の合理的な理由などについて、活発な議論が行われました。

 JaCERでは、今後も内外の専門家や団体と連携し、ビジネスと人権に関する重要な出来事やテーマについてタイムリーにセミナー等の発信の機会を設け、効果的な救済支援に活かしていく所存です。

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